わかりやすい漢方の話

北九州市小倉の相談薬局大門薬品の管理薬剤師篠原艶子が漢方・薬膳・アロマ・養生で健康な毎日をつくるお手伝い、さまざまな不調を改善するヒント。

2016年03月

漢方薬って副作用はあるの?【北九州の相談薬局大門薬品】

 漢方薬は、自然由来で効果も穏やかなことから、「副作用はない」と思いこんでいる人もいるのではないでしょうか?
 
 しかし、それは大きな間違いです。漢方の生薬の中には、飲む人の体質の変化や、摂取量によって、思わぬ副作用が表れる場合があります。

 また、漢方薬は体質(証)に合わないと、効果がないだけでなく、病状がむしろ悪化してしまうこともあります。
漢方医学ではこれを誤治といい、ほてりや不眠、食欲不振、胃の不快感など、様々な症状となって表れます。「葛根湯」など、ドラッグストアで購入できる漢方薬を飲んだ場合にもこのような副作用が起こることがあります。

 ☆漢方薬の副作用って、どんな症状が出るのでしょうか?

 動悸やめまい・腹痛など、生薬ごとに副作用も異なります。

 漢方薬の服用によって体に表れる副作用は、腹痛やむくみ、のどの渇きなど、日頃からよく起きがちな症状もあるので、最初は気付かないこともあります。

 ≪代表的な生薬とその副作用を例に挙げてみます≫
①麻黄・・・動悸、不眠、精神興奮、頻脈、消化器症状など
②甘草・・・むくみ、高血圧、口の渇き、体のだるさなど
③地黄・・・胃・みぞおちの不快感、食欲不振、吐き気、下痢など
④附子・・・動悸、のぼせ、舌のしびれ、吐き気など
⑤芒硝・・・下痢、腹痛、むくみなど

 漢方薬の服用後、不快感があったり、体質が変化したりと少しでも気になる症状が出たら、自己判断をせずに必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。その人の体質に合うように、処方を変えていくことが出来るのも漢方薬の良いところです。

 また、漢方薬と併用する予定の西洋薬や健康食品、サプリメントなどをあらかじめ伝えておけば、考えられる副作用などを教えてもらえるので、症状が表れた時に慌てずにすみます。

 副作用が表れた場合には漢方薬の種類や症状を書き留めておくと、後の備えになります。

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COPD(慢性閉塞性肺疾患)に処方される漢方薬【北九州の相談薬局大門薬品】

 ☆肺の炎症と体力低下は漢方薬により改善

 COPD。少し耳慣れない病名かもしれませんが、以前は「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれていた病気の総称です。気管支や肺に炎症が起きて空気の通り道が狭くなり、階段をのぼると息切れする、咳や痰が長引くといった症状が表れます。

 原因の9割がタバコによるもので、別名は「肺の生活習慣病」。患者数は年々増加し、日本全国で530万人と推定されています。風邪などをきっかけに急激に症状が悪化することも多く、重症化すると呼吸不全になるなど、命の危険に陥ることもあります。

 治療には、初期の段階から西洋薬と漢方薬を併用するのが効果的です。治療の第一はまず禁煙。次に薬で呼吸状態を改善することです。西洋薬の坑コリン吸入剤やβ2吸入剤で気管支を広げて呼吸を楽にしますが、症状が進むと漢方薬との併用が効果的です。

 漢方薬を使う目的の一つは、肺の炎症を抑えるためです。ゴホゴホと湿り気のある咳と痰が出る場合には「清肺湯」、痰が少なく乾燥した咳なら「麦門冬湯」を用いて治療します。

 もうひとつの目的は、全身症状の改善です。COPDが進行すると体力低下、食欲不振、体重減少が顕著になります。呼吸器症状だけの患者より、体重減少も合併している患者の方が、風邪などで急激に症状が悪化した場合に命を落とす危険性が高まることが分っています。

 西洋薬で全身症状の治療をするには、何種類もの薬剤が必要となってしまうため、患者を薬漬けにしかねません。一方で漢方薬は、一つの薬だけで改善することも可能で、このような全身症状の改善に向いています。

 代表的なものは「補中益気湯」、「十全大補湯」、「人参養栄湯」などですが、例えば「補中益気湯」には、抗炎症作用、食欲不振の改善、免疫機能を高めるなど複数の作用があり、一つの薬で治療できるのです。

 できれば重症化する前に気付いた方が良いのですが、、最初は呼吸が苦しくても、放っておくと次第に体が慣れて苦しさを感じなくなることも多いものです。まず「COPDではないか」と疑うことから始めてください。 

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痛みに処方される漢方薬【北九州の相談薬局大門薬品】

 ☆痛みの裏にある根本原因を探り、その原因を元から断つ!・・・同じ痛みに対しても治療は様々です。

 「痛みは多岐にわたり、全身のあらゆる部位に表れ、QOL(生活の質)を悪くします。患者さんのつらさは待ったなしで、すぐ取り除いてあげなければならないものですが、痛い部位の痛みを取るだけでは、対症療法にすぎません。

 漢方では痛みだけを診るのではなく、その裏にある、痛みが起きる原因を突き止めて治療するという考え方をします。言ってみれば、”天守閣に直接矢を放つのではなく、外掘りを埋めたり、石垣を少しずつ崩したり”というイメージです。そのため四診より、その人の体質と症状のパターンである”証”を把握することが大切です」

 では、痛みの原因にはどういうものがあり、漢方でどう対処していくのでしょう。

 「例えば肩が痛い人は、その裏に血液の循環が悪い、冷えがある、水はけが悪いなどの原因が隠れています。腰痛や下肢痛も冷えが関わっていることが多いのです。それらの冷えや水っぽい状態を取り除く漢方を処方すると、痛みも同時に軽減します。

 一方で、帯状疱疹後神経痛には、頻尿に使う六味丸と激しい咳に使う麦門冬湯がなぜか効果があったことがあります。また、ストレスを取り除くことで効果が出る場合もあります。怒り、悲しみ、いらだち感なども痛みを増幅させるので、それらを取り除く処方も大切です」

 症状がある人の生活背景を考慮することも重要です。体力のある働き盛りの中高年なのか、痩せて細々とした高齢者なのかによって、その人ならではの症状が隠れているため、個々の患者に合わせて処方をかえます。

 「痛いと眠れなかったり、疲労感、抑うつ感が高まったりします。そうするとさらに痛みが強まって眠れなくなり、疲労感や抑うつ感がより増幅する、というように心身の状態がどんどん悪循環に陥ります。そのうち、心身ともに痛みに苛まれ、疲れ切ってしまいます。

 漢方は長く飲まないと効かないと思われがちですが、短期で痛みが軽減する場合もあります。症状や体質については、些細なことでも話していただくことが適切な治療につながります」

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冷え症・月経痛に処方される漢方薬【北九州の相談薬局大門薬品】

☆鎮痛薬が効かない?・・・その原因は冷えかも・・・

 筋肉が少なく脂肪が多い女性は男性より冷えやすく、日本人女性の7割が冷えに悩んでいるといわれています。

 さらに現代人は、痩せるためのダイエット、ファッション優先の薄着、運動不足、夜型生活、ストレスの増加など、冷えやホルモン分泌の乱れを起こしやすい環境で生活しています。

 「冷えは万病のもと」と言われ、体が冷えると気・血・水の巡りが悪くなり、、様々な困った症状が現れます。特に女性では、血と密接に関わる月経のトラブルが起こりやすいのです。

 その中には、月経周期が乱れる「月経不順」、月経痛を伴う「月経困難症」、経血量が変化する「過多月経・過少月経」、月経が来ない「無月経・閉経」、月経の7~10日前になると様々な精神的・身体的症状が出現する「月経前症候群(PMS)」があります。

 これらは漢方医学的にみると、主に血の巡りが悪くなる「瘀血」に関わる病態です。

 月経痛の場合、西洋医学では子宮や卵巣に病気があれば、その治療を優先します。それ以外のものは、ホルモン剤の低用量ピルや鎮痛薬を用います。

 ですが西洋薬では、根本にある冷えや瘀血を改善できないため、よくならないこともあります。

 そこで効果を発揮するのが、患者さんの体のバランスの乱れを改善する漢方薬。妊娠に向けてのバランスの良い体作りにも、役立ちます。

 女性の病気によく使われるのが、3大処方の当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸。いずれも血の巡りを改善する効果に優れ、体質に合わせて使い分けます。

 また、冷えにはいくつかのタイプがあります。①血や水が滞り手足の末端が冷えるもの(当帰芍薬散)、②血や気の異常により、上半身がのぼせて下半身が冷えるもの(桂枝茯苓丸)、③ストレスで気の巡りが悪くなり、自律神経が失調して多様な症状と冷えのぼせが起こるもの(加味逍遥散)、④胃の働きが低下して食欲がなく、新陳代謝が悪くなり全身が冷えるもの(六君子湯)など、それぞれに合った処方を選びます。

 芍薬甘草湯は、痙攣性の痛みを緩和する効果があり、月経痛に有効です。

 漢方薬を使って、長年苦しんでいた月経痛が楽になる女性は沢山います。我慢せず、漢方薬を試してみてください。

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子供のアトピー性皮膚炎に処方される漢方【北九州の相談薬局 大門薬品】

 ☆子供の成長を見て、母子関係も重視します。

 子供のアトピー性皮膚炎は大人と同様、食べ物やダニ、ホコリ、花粉などのアレルゲンに対して、体が過剰に反応して起こる疾患です。

 「子供が大人と大きく異なる点は、彼らが成長過程にあるということ。心身の成長を視野に入れた治療で、アプローチします。

 例えば、乳幼児は腸管が未発達なため、アレルゲンとなる食物(抗原)が、腸管粘膜のフィルターすり抜けて、直接体内に取り込まれやすくなり、アレルギーの原因になります。

 子供の腸管は生まれてから3~5年かけて、ゆっくりと成熟していくため、離乳を急ぎ過ぎないように指導し、腸管の発達をサポートする漢方として「黄耆健中湯」を処方します。

 「黄耆健中湯は、甘くて、おいしく、飲みやすい漢方です。黄耆は皮膚の機能を高め、甘草と膠飴が消化管粘膜を保護して、腸管の発育を助け、皮膚を潤す働きがあります」

 また、健やかな睡眠は子供の成長発達に不可欠ですが、アトピーによる強い痒みのため、夜間不眠の子も少なくありません。このような場合は、「甘麦大棗湯」を処方して、情緒の安定をはかります。

 年齢が長じて、学校生活における人間関係など、ストレスが関与する場合は、「抑肝散」などの柴胡剤を用います。

 他に、夏場の湿気と暑気で痒みが増強し、滲出液が出てくるタイプには「消風散」を、熱感が強い場合には「白虎加人参湯」を選択します。

 また、患者の顔色や表情、姿勢など、全体を”みる”望診も大切です。五感を研ぎ澄ませて、不安や悩みといった患者さんの心の状態など症状の奥にあるものをしっかり”みる”ことが、的確な診断には欠かせません。

 そして、アトピー性皮膚炎の子供とお母さんの関係も重視しています。アトピーの子供を持つ母親は、治そうと必死になるあまり、子供の反応に過敏になり過ぎる傾向があります。

 子供は、成長する力を内に秘めています。たくましい成長と自然治癒力による驚くべき改善もしばしば起こります。時には心身のバランスを整えるため、お母さんにも漢方を処方します。子供の力を信じて、おおらかに接していけるよう、お母さんを支えていくことも大切です。

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